関西企業のAI導入率16%、業種別に見た意外な差 | 大阪・神戸の中小企業DX調査

帝国データバンクが2024年に実施した調査によると、大阪・神戸を含む関西の中小企業でAI・DXに取り組んでいる企業は16.0%でした。全国平均は15.7%。ほぼ同じです。
「思ったより低い」と感じる方も多いかもしれません。

業種別に見ると景色が変わる
ただ、この16%という数字を業種別に分解すると、少し景色が変わってきます。
情報サービス業では24.4%。4社に1社近くが何らかの形でAI・DXに取り組んでいます。金融業も同様に高い水準です。一方で、運輸・倉庫、建設、不動産といった業種は全国平均を下回っています。

関西といえば製造業が多い地域です。では製造業はどうなのか。
経済産業省の中小企業白書2025年版を確認すると、製造業全体でのデジタル化取組は緩やかに増加していることがわかります。特に2024年は「段階1(デジタル化に未着手)」の中小企業が前年から大幅に減少しました。
「さすがにExcelすら使わない、というわけにはいかなくなった」という空気感が、数字にも表れているのかもしれません。
「取り組んでいる」の中身を見てみる
ところで、この「取り組んでいる16%」は具体的に何をしているのでしょうか。
経産省のデータによると、最も多いのは「自社ホームページの作成・更新」です。次いで「顧客データの一元管理」「営業活動のオンライン化」が続きます。

正直なところ、「AI活用」と聞いてイメージするような、ChatGPTで業務を自動化しているとか、画像生成AIでマーケティング素材を作っているとか、そういう話ではなさそうです。むしろ「ようやく紙の管理をやめてデータベース化した」「Excelで管理していた顧客情報をクラウドに移した」といった、基礎的なデジタル化が中心なのでしょう。
ちなみに、生成AIに限定したデータもあります。総務省の2025年情報通信白書では「業務で何らかの形で生成AIを使用」している企業が約5割という数字が出ています。
ただしこれ、帝国データバンクの16%とは大きく乖離していますよね。おそらく総務省の調査は「試しに一度ChatGPTを使ってみた」レベルも含まれているのではないかと思われます。定義の違いで数字がこれだけ変わるのは、統計データを見る上で注意したいポイントです。
残りの84%は何を考えているのか
さて、取り組んでいない84%の中小企業は何を考えているのでしょうか。
「やる気がない」わけではなさそうです。帝国データバンクの調査では、大阪・神戸など関西で「取り組みたい」と回答した企業は約29%。「取り組んでいる16%」と合わせると45.1%が前向きということになります。これ、実は全国平均の41.4%を上回っているんです。

つまり関西の中小企業は、決して消極的ではない。むしろ前向きな層は全国より多い。
では何が障壁になっているのか。
課題として最も多く挙がったのは「対応できる人材がいない」(47.4%)、次いで「必要なスキル・ノウハウがない」(43.6%)でした。
意外だったのは、コスト面の課題がそれほど上位に来ていないこと。もちろん「お金がかかる」という声もあるのですが、それ以上に「何をどうすればいいかわからない」「誰に相談すればいいかわからない」という知識・人材不足が大きいようです。
これは裏を返せば、適切なサポートや情報提供があれば、動き出す企業が増える可能性があるということでもあります。
閑話休題:「導入率」という言葉の曖昧さ
少し横道に逸れます。

今回、複数の調査データを見て気づいたのは、「AI導入率」という言葉の定義が調査によってバラバラだということです。
「ChatGPTの契約をした」だけで導入とカウントする調査もあれば、「業務フローに組み込んで成果が出ている」レベルを求める調査もある。前者なら50%、後者なら10%台という数字になるのは当然です。
だから「導入率○%」という数字を見たときは、その定義を確認することが大切です。自社が参考にすべきは、どのレベルの「導入」なのか。それを見極めないと、数字に踊らされることになります。
データから見えてきたこと
話を戻します。
今回、複数のデータを組み合わせて見えてきたのは以下の点です:
- 「本格的に取り組んでいる」企業は16%程度
- 試験的な利用まで含めればもっと高い
- 業種による温度差がかなり大きい
- 関西は全国と比べて遅れているわけではない
- 前向きな企業は全国より多い
- 最大の壁は人材・ノウハウ不足

関西の中小企業におけるAI・DX導入は、全国と同じペースで進んでいます。ただし業種や企業規模による差は大きく、「様子見」から「取り組み」へのシフトが今後の焦点となりそうです。
「何から始めればいいかわからない」という企業が多い今だからこそ、具体的な事例や小さな一歩を示すことが、次の16%を生み出すカギになるのかもしれません。
ちなみに当社では、こうした「ゼロから始めたい」という関西の中小企業向けに、AIゼロイチセミナーを開催しています。大津商工会議所での全5回開催実績があり、「何もわからない状態から、翌日業務で使えるレベル」を目指す実践型の内容です。また、人材開発支援助成金に対応したAI研修もご用意していますので、ご興味があればご覧ください。
参考資料
- 帝国データバンク「DX推進に関する近畿企業の意識調査」
- 経済産業省「中小企業白書2025」
- 総務省「情報通信白書2025」
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